仲 真一 Shinichi Naka
時計修理工房 時計職人
自分の仕事に妥協せず、お客様のために
あらゆるスキルを向上させていきたい
すべての時計に違いがある、そこがこの仕事の面白さ
この仕事を始めてもう長くなりますが、時計修理工房に来たのは平成24年のことです。
時計修理を始める前は、時計の販売をしていました。当時は外装のことしか分からなくて、時計の中のことも知りたいと思って、こっちの修理の世界に入ったんです。
子どもの頃から、プラモデルやラジコンといった細かい物を作るのが好きでしたから、今、こういう仕事を出来ているのはありがたいことです。
前の店を離れた理由の一つは、ここ数年、時計修理の仕事が少なくなってきたことです。昔はたくさんあったのですが、消費者の時計に対する価値観が変わってきたんでしょうか。
もう一つは、前の店はロレックス修理専門だったんです。私自身、ロレックス以外の時計修理もやりたいという思いがありましたので…。
そこへ今の社長との出会いがありまして、社長の「これから、時計修理業界でこの店を大きくしていきたい」という夢に惹かれました。転身するのに不安はなかったです。
時計修理工房では、いろんな時計を修理する機会があります。メーカーが違うと、基本的なことや構造的な作りは同じですけど、細かいところはやっぱり違います。一個一個、部品や形も違えば、故障の症状も違う。そこに今の仕事の難しさや面白さがあります。
それと、仕事量の多さも以前とは段違いです。インターネットで引き合いがあるのが大きいと思いますね。やはり数を多くやるほど自分の技術も上がっていきますので、やりがいがあります。
納期を守り、再修理のおきないように全力を
仕事の中で大切にしているのは、何はなくとも納期を守ること、遅らせないこと。お客様が最も気にされるのはそこですからね。
もう一つは、再修理のないこと。修理した時計がまた止まってしまったとか、時間が合わないとか。きちんと仕事をしていないと、あとで必ず再修理という形で返ってきます。
そうならないためには、仕事をできるだけ早く、確実にすること。細かい仕事ですから、当然、集中力を切らせてはいけない。大変ですが、納期を遅らせないように努力しています。
また、私はいつも工房の中にいますが、時には店舗に来られたお客様から電池交換や分解掃除を受けたりします。そんな時は、時計の知識がない方にも分かるように、分かりやすく、ゆっくりと丁寧に説明するように心がけております。
当店のお客様には、年齢層の高い方、女性の方も多いので、いろいろ考えて言葉を選びながら接しています。そういう意味では、サービス業に近いですね。
前にいた店では、完全に技術職でした。朝から晩まで毎日ずっと分解や掃除をしていましたので、仕事で人に接することは全くなかったと言って良いと思います。ですから、ここに来たばかりの頃は、お客様への説明もなかなかうまくできませんでした。それは今でもそうですが、今後向上していきたいですね。
お客様の喜びを、直に感じられるのがうれしい
私のポリシーは、時計修理において「妥協しない」こと。一応動いてはいるが、もうちょっと頑張ればもっと良くなるかもしれない。そんな時、そのままで終わらせないというこだわりは持っています。
そうすると、どうしても作業時間がかかります。これは今後の課題ですが、やはり作業のスピードアップですね。速く、しかも確実にやっていく。これはまだまだ、向上していかねばならないと思います。
あとは、仕事をいかに段取り良く、効率良くするかということ。これは経験なので、たくさんの仕事をこなしていく中で、徐々に改善していけたらいいなと思っています。
この仕事をしていて一番の喜びはやはり、動いていなかった時計が思い通りに動いた時のものです。今までの経験とか知識をもとに、いろんなことを「ああでもない、こうでもないと」と試行錯誤しながら、うまくいった時の充実感はとても大きいです。
そして、苦労して直した時計をお客様にお渡しして、喜ばれる時はさらにうれしい。以前のように、お客様と接さずにいた時には感じることのできなかった満足があります。お客様の反応が直に分かるという意味では、今までとは全く違います。
今の仕事が私の天職だと思うし、しんどくもあり、楽しくもあります。紆余曲折ありましたが、自分にとっては、この店に来られたことが人生のクライマックスかもしれません。これから何があるか楽しみですね。
西島 正美 Masami Nishijima
時計修理工房 スタッフ
主に「時計修理工房」の経理業務を担当し、店舗での接客対応も行う。
「お客様に一番見ていただきたいのは、当店のスタッフの人柄。皆、本当に誠心誠意、お客様に喜んでいただけるよう時計修理に取り組んでいます。私も、どなたでも気楽にご利用いただける時計修理工房を目指します」