- 今回の修理事例は、ROLEX ロレックス Ref16613 サブマリーナデイト青サブコンビSS×YG16613のオーバーホールの修理・料金のご紹介です。
- オーバーホール 29,800円(税抜)
- 研磨仕上げ 10,000円(税抜)
- 小鉄車 15,000円(税抜)
言わずと知れたロレックスの代表的モデル。私たち時計修理工房に寄せられるロレックス時計の中でも、特にご依頼の多いモデルの一つです。
お送りいただいたのは、青いベゼルが目を引くこちらのモデル(ベルトは外してあります)。
目立った外傷はありませんが、「針回しができない」とのことで修理をご依頼されました。
実際にリューズを引っ張って回してみると、針がほとんど動きません。
故障の原因確認のため、まずは裏蓋を開けます。
こうした症状で、まず原因として考えられるのは、リューズの破損による空回りです。
もちろん、他のパーツが壊れている可能性もありますので、故障した箇所を特定していきます。
蓋を開けた状態でリューズを回してみます。
巻き芯(赤丸の部分)がきちんと回っていたら、リューズ自体は破損していないことになります。
この時は、リューズの回転に連動して巻き芯も回っていました。
ここは壊れていないようです。
そうなると、表側(文字盤側)にあるパーツが壊れている可能性がありますので、次は文字盤を外しにかかります。
キドメネジを緩め、ピンセットを使ってムーブメントをケースから慎重に外します。
長針・短針を外します。
文字盤を固定している2か所のエド止めネジを緩めたら、文字盤をゆっくり引き離します。
文字盤には「干支足(えとあし)」(赤丸の部分)と呼ばれる突起が2つ付いています。
この干支足にネジを締めることで、文字盤はムーブメントに固定されているのです。
文字盤を外した状態の本体です。
上の写真ではカレンダー板などが見えていますが、針を動かしている歯車たちは、この下にありますので、さらに分解します。
カレンダー板などを外し、ようやく針回しに関わる歯車が姿を現しました。
これを一つ一つ、異常がないか調べていきます。
腕時計の機構は、大小さまざまな歯車が複雑に組み合わさっています。
歯車の下に隠れて見えないものもあるので、歯車を外したりしながら調べます。
……ありました!
赤丸で囲んだ歯車(小鉄車)が、一部欠けているのがお分かりでしょうか?
より分かりやすくするために、歯車の上の板を外しましょう。
ピンセットの先端にある歯車、歯が3つほど欠けているのが分かります。
これが、針が正常に動かない原因であるのは間違いありません。
別の角度から見てみましょう。歯の欠けがはっきり分かるかと思います。
歯車の欠けの修理は難しいので、交換となります。
(部品交換の際は、事前にお客様に確認させていただきます)
また、欠けた歯は当然、時計の中のどこかにあるわけですから、分解掃除も一緒に行いました。
このように歯車が欠ける原因は、長年使った劣化によるものが一番多いですが、他にも油切れなどで針回しが固くなっているのを、力任せで無理やり回そうとすると、歯が壊れてしまうことがあります。
皆様も、リューズが固くて動かなくなったら無理やり回すのでなく、ぜひご相談くださいませ。
その方が結果的に、より早く、より安く修理できる場合もございますので。
このたびはご利用ありがとうございました。