今回ご紹介する時計修理事例は、
オメガ・スピードマスタープロフェッショナル(手巻きクロノグラフ)
(型番:311.30.42.30.01.005)です。
この時計はオメガの顔ともいうべきモデルで、1969年に月面調査した宇宙飛行士の腕にも付いていたことから「ムーンウォッチ」の別名があります。
今回ご依頼の時計は、持ち主様が長年愛用してこられた大切なお品で、当店への依頼内容は次の2点でした。
・10年ほどオーバーホールしていないので、一度全体的にメンテナンスをしてほしい
・ベルトのピンとパイプがなくなって腕にはめられないので、修理してほしい
とのことです。
こちらは修理前のオメガ・スピードマスタープロフェッショナルの状態です。
お預かりした時計は、ゼンマイが切れてないか、針がきちんと動くか、クロノグラフの動作、防水チェック、磁気の有無など、作業開始前に全体の状態を確認してから分解していきます。
オメガ・スピードマスタープロフェッショナルはパーツがおよそ200個あります。
これが1つたりとも欠けることのないよう、ピンセットで慎重に分解していきます。
時計が分解できたところで、パーツを専用の洗浄装置に入れて汚れを落としていきます。
時計の内部は時間の経過とともに汚れが溜まってくるものです。
その汚れの原因は、オイルが蒸発して出てくるオイルかす、オイル切れで金属と石が摩擦し削れて出てくる粉などで、これらが時計内部に蓄積していくのです。
時計がきれいになったところで元の形に組み立てていきます。
滑らかに動くようパーツにオイルを差しながら丁寧に組み立てていきます。
特にガンギとアンクルへのオイリングは細心を要する作業です。
本体の組み立てが終わったところで、開始前と同様に動作確認を行います。
ゼンマイ、針、クロノグラフ、防水、磁気などを確認し、検定器でテンプ調整を行います。
ここまで完了したらケースに戻し、オーバーホールの作業は終了です。
続いてベルトを修理します。
修理箇所はこの部分です。
このとおり、きれいに繋がりました。
今回ご依頼いただきましたオメガ・スピードマスタープロフェッショナルの作業はこれで終了です。
末永く使っていただけるよう祈りつつ、ご依頼主様のもとへお届けです。
このたびはご利用ありがとうございました。
【修理費用内訳】
・ オーバーホール 39,800円(税抜)
・ ベルト修理 4,000円(税抜)