カルティエをはじめとする高級腕時計に欠かせないベルトやバンド。時計を手首に留めるという重要な役割を持つだけでなく、ベルトの見た目やデザインは時計自体の印象にも大きく影響を与えます。
そんな時計ベルトは、付け外しの頻度が高く、また肌や外気と接する面積も広いため、比較的傷みや破損が起きやすいパーツです。ここではカルティエのベルトが壊れてしまった時の対処法や、破損を避けるために普段からできる対策などをご紹介します。
時計ベルトの種類
一口にカルティエといっても多種多様なタイプ・モデルがあるように、腕時計ベルトにも様々な種類があります。ベルトの素材によって質感やデザインが違うのはもちろん、傷み方や壊れ方も違ってくるものです。
時計ベルトに使われる代表的な素材に「革」「金属」「ファブリック」「樹脂」の4つがあります。
革
腕時計ベルトの中でも最もポピュラーな素材です。カラー・デザインのバリエーションが豊富で、柔らかい装着感や皮革製品ならではの高級感、経年変化が魅力。金属ベルトと比べると耐久性に劣り、汗や水分に弱いため、こまめな手入れが必要です。
また革の中にもクロコダイル、カーフ(仔牛)、パイソン(ヘビ)、コードバン(馬の尻)など多くの種類があります。
金属
金属製のベルトも、腕時計ベルトとして広く使われています。多くはステンレス製で、光沢や重厚感があり、ビジネスにもカジュアルにもシーンを選ばず使えるのが特徴です。また研磨によって表面の美しい状態を維持できるのも金属ベルトならでは。
丈夫で熱や水にも強い一方、革ベルトのような軽さや柔軟性はなく、金属アレルギーの方には使えないなどのデメリットがあります。
樹脂
ウレタンやシリコンラバーなどの合成樹脂を用いて作られた時計ベルトです。ファブリックと同様にカジュアルでスポーティーなシーン向けで、樹脂ならではの弾力性やなじみやすさが特徴。丈夫でお手入れもしやすく、革やメタルより見栄えは劣りますが実用性は非常に優れています。
ただし樹脂特有の、紫外線などによる劣化やひび割れは注意が必要です。
ファブリック
ナイロンやコットン、ポリエステルなどの生地で作られた時計ベルトです。革やメタルに比べると非常にカジュアルな外観で、時計の雰囲気を大きく変えることができます。また汗や水に強く、水洗いできる素材も多くあります。
そのデザイン性から、フォーマルなシーンには不向きなのがデメリットです。
時計ベルトによくあるトラブル・故障
冒頭でも触れた通り、時計ベルトは時計パーツの中でも比較的傷みやすい部分です。これはカルティエのような高級腕時計も例外ではなく、大切に扱っていても何かしら問題が起きてしまうことはあります。
時計修理工房のお客様からよく聞かれる時計ベルトのトラブルは次のようなものです。
ベルトの汚れ・傷み
時計を長く使用していると、ベルトに汚れや傷み(傷、変色など)が発生することは珍しくありません。大切に使い続ければこその問題ですが、見た目にも良くありませんので早めのケアを行いたいものです。次のような要因が絡んでいます。
汗・皮脂
肌が直接触れるベルトには汗や皮脂が付着しますが、これが空気中の塵や汚れなどを含んで汚れとなります。またベルトに汗が付いたまま放置していると、革ベルトならシミやカビ、金属ベルトなら錆の原因となる恐れもあり劣化を早めます。
衝撃・摩耗
時計を床に落としてしまった時などの、外部からの衝撃や摩耗によってベルトに傷が付くことがあります。特に金属ベルトは細かい傷も目立ちやすく、注意が必要です。
化学物質
洗剤や化粧品、日焼け止め、香水などの影響でベルトが傷んだり変色したりすることがあります。特に樹脂ベルトの場合はご注意ください。
紫外線
直射日光などの強い紫外線は、革ベルトや樹脂ベルトの劣化や変色の原因となります。
バックルの故障
バックル(ベルトを留める部分)も、閉まらない・動かないなどの故障が起きやすい箇所です。衝撃による変形や破損、経年劣化や摩耗、錆などが故障の原因となります。
時計のバックルの形状には、ピンをベルトの穴に通して留める「ピンバックル」と、バックルの開閉によって留める「Dバックル」の2種類があります。故障が起きやすいのは機構がより複雑なDバックルのほうです。
いずれにせよバックルが正しく閉まらないと、まともに時計を使えません。装着中の時計が腕から外れて落下・破損といったトラブルの恐れもありますので、早めの修理対応を行ってください。
ベルトピンの外れ・破損
金属ベルトのコマやバックルをつなぐ細い棒を「ピン」といいますが、時計を長期間使用していると、このピンが摩耗して細くなり、外れてしまうことがあります。また何らかの負荷や経年劣化によって変形したり折れたりするケースもあります。
ピンが破損すればそこでベルトは切れてしまうため、気づかない間にピンが外れて時計を落としてしまうかもしれません。
ピンが緩んでくると端部がベルトの側面からはみ出してくるので分かります。
ベルトの伸び
細かいコマで構成された金属ベルトの場合、使い続けるうちにベルトが伸びてくることがあります。
時計のバックルを留め、時計を横向きにして持ち上げてみてください。この時に、もしベルトが水平にならずアーチ型に湾曲していれば、ベルトが伸びている証拠です。
これはベルトのコマの摩耗や劣化によって、連結部分の隙間が大きくなってしまったことが原因です。こうしたベルトの伸びは手首への装着感にも影響します。
ベルトの亀裂、切断
劣化してきた時計ベルトは、負荷がかかると亀裂が生じたり、最悪の場合切断してしまうことがあります。
特に樹脂製のベルトは、経年劣化により素材の柔軟性が失われると破断・破損が起きやすいため注意が必要です。時計本体とベルトの接続部は厚みの差があるため、この部分で破断してしまうケースが多く見られます。
また革ベルトも、過乾燥の状態になると簡単に亀裂や破断が発生しボロボロになってしまいます。
ベルトが壊れた時の対処法
ここまでご紹介したように、時計ベルトの破損・故障は様々なパターンがありますが、こうしたトラブルに見舞われた時の対処法には、「自分で修理する」「時計修理店に修理を依頼する」「メーカーに修理を依頼する」といった方法があります。
自分で修理する
ベルトに付いた小さな汚れや傷は、自分で拭き取ったり研磨で取ったりできる場合があります。
革ベルトの汚れがひどい場合は時計からベルトを外して中性洗剤を少量入れた水の中でもみ洗いしてください。また金属ベルトも汚れは拭き掃除などで取れますが、細かい傷を自分で研磨して取ろうとする場合は十分気を付けましょう。うまく研磨できずに元々の美しい仕上げを崩してしまう恐れがあります。
金属ベルトのピンやコマの外れも、軽度のものなら自分で修理できるケースがありますが、必ず専用の修理工具を使ってください。
伸び、切断などは自分ではどうしようもありませんので、ベルトをそっくり交換することになります。
ベルトの交換方法についてはこちらに詳しく説明していますので、自分でチャレンジしてみたいという方はご参照ください。
ベルトの交換方法(「時計ベルト.com」のサイトが開きます)
時計修理店に修理を依頼する
金属パーツの破損や変形、経年劣化など、自分では対応できないベルトの破損やトラブルについてはお近くの時計修理店に持ち込むのが最も早くて確実です。無理に自分で直そうとして時計本体まで傷つけてしまっては大変。カルティエのような高級腕時計であればなおさらです。
時計修理店では、時計本体だけでなくベルトの修理ももちろん受け付けてくれます。持ち込んだその場で修理対応してくれることもあれば、パーツがないなどの理由で工数がかかることもありますので、依頼する時は費用や納期を確認しておきましょう。
修理対応よりもベルトを交換したほうが安価になるケースもありますが、店頭で時計ベルトを販売している修理店ならその場で交換するベルトを選べるのでスムーズです。
なお、家電量販店や小さな時計ショップでもベルト修理を受け付けているところはありますが、修理実績や技術面でより安心を求めるなら時計修理の専門店に行くのをおすすめします。お近くに時計修理専門店がない場合は、インターネットの時計修理サービスを利用するのも良いです。
メーカーに依頼する
時計ベルトの修理をメーカーに依頼することもできます。メーカーでは破損した部分だけを修理することはまれで、メーカー純正の新品ベルトとの交換対応になることがほとんどです。
メーカー純正品は高価なものが多く、工賃もかかるため、カルティエのような海外ブランドの時計だと時計修理店よりもかなり高額になります。また海外ブランドだと修理・交換を終えるまでの日数がかかることも珍しくありません。この場合も費用と納期は必ず確認してください。
ベルトが壊れないための対策
カルティエの時計ベルトが壊れた時の対処法は上記の通りですが、あえて申し上げるまでもなく、壊れないにこしたことはありません。時計ベルトを傷めたり破損したりしないよう、普段から心がけておきたい点についてご説明します。
毎日のお手入れ
ベルトのお手入れを怠ると、汚れや傷みが早く進行します。適切なメンテナンスと保護を行うことで、時計ベルトを良い状態のまま長持ちさせられます。
時計は毎日身に付けているものですから、使い終わったらその日のうちに汚れや汗、皮脂をしっかりふき取っておきましょう。特に革ベルトは、この習慣を続けることで革の劣化を最小限に抑えられます。
もちろん金属ベルトでも、コマやピンの隙間などに汚れや錆ができると破損の原因となるため毎日のお手入れは大切です。
無理な力をかけない
時計を手首に付ける時、落ちないようにとベルトを強くキチキチに締める方がいらっしゃますが、ベルトに無理な力がかかると伸びやダレの原因となるため良くありません。一般に、時計を付けた状態で手首とベルトの間に指が1本程度入るくらいが良いとされています。
特にバックルは使用頻度が高く頻繁に動かすため、無理な力や落下の衝撃などで中板や留め金が変形し、スムーズに開閉しなくなるケースがあります。その場合は時計修理店に調整してもらいましょう。
またベルトを無意味に逆方向に曲げたりするのも控えてください。
直射日光に当てない
革ベルトや樹脂ベルトは直射日光に弱く、光で色があせたり、素材の劣化を早めたりする恐れがあります。窓際や車のダッシュボードなど長時間日光が当たる場所に放置するのは避けてください。
カルティエのベルトが壊れたら時計修理工房へ
ここまでカルティエ時計のベルトの破損やトラブルについて詳しくご説明してきました。時計ベルトは人目につく部分が多い上、時計の使い勝手にも大きく影響します。もしベルトが壊れたり傷んだりしたら、できるだけ早く修理店に持ち込むなどの対応を行いましょう。
もし皆様が、カルティエの時計ベルト修理を依頼する修理店をお探しでしたら、ぜひ私たち「時計修理工房」にお任せください。
時計修理工房は1974年に創業した老舗の時計修理店です。カルティエをはじめあらゆる海外・国内ブランドの時計修理を手掛けており、おかげさまで年間修理本数は12,000本以上にのぼります。
時計ベルト修理の実績も非常に豊富で、長さ調整やピン抜け・折れ修理、金具変形の修理、コマ交換、ベルト交換など様々な症状に対応可能です。
また時計修理工房では、他店ではあまり見られない、金属ベルトの「レーザー溶接修理」も行っております。
最新のレーザー溶接機を用いて、通常は高価な交換修理でしか対応できなかった、ベルト切れ・金具折れ・破損なども溶接で修理できます。熟練の技術により精密なパーツの修理も美しい仕上がりで、大変ご好評を頂いております。他店での金属ベルト修理で「交換しかない」と言われた方はぜひ一度お問い合わせくださいませ。
カルティエのベルト故障や破損でお困りの方は、ぜひ時計修理工房にて修理をご依頼くださいませ。遠方のお客様にはご自宅から対面不要で依頼できる「無料見積配送パック」もご用意しております。
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